本田宗一郎が怒鳴った部下、怒鳴らなかった部下「進歩とは反省の痛みの深さに正比例する」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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本田宗一郎が怒鳴った部下、怒鳴らなかった部下「進歩とは反省の痛みの深さに正比例する」

【連載】「あの名言の裏側」 第1回 本田宗一郎編(1/4)「本田宗一郎が殴った部下/殴らなかった部下の違いとは?」

 社員の自主性を尊重し、若手の斬新なアイディアや取り組みを積極的に採り入れる柔軟なところがある反面、技術者としての自負や矜持が強いこともあって、自身の意向や考えに頑ななところもあった御仁のようです。気に入らないことがあれば、激しく叱咤するだけでなく、工具を手に殴りかかってきたり、灰皿を投げつけたりすることもあったとか。見方によっては「偏屈なパワハラ頑固オヤジ」と言えなくもありません。

 冒頭に引いた発言に話を戻しましょう。この一節の真意について、本田氏は次のように解説しています。

 人間は、誰でも反省の重要さは一応知っている。しかし必要なときに、必要な反省をしている人間というのは、意外に少ないものだ。
 とかく他人には厳しく、自分自身に寛大なのは凡人の常だ。第一、自分自身について冷静に批判の目を向けることさえ、なかなか勇気のいることなのである。反省となると批判によって得られたデータをもとに、直接その患部へ切開のメスを振るうことなのである。なまやさしい勇気ではそれはできないのだ。自己との闘争である。
 だからといって反省しなければ、その人間はどうなるだろうか。われわれ凡人には一瞬一瞬厳しい反省が必要だということは、われわれ自身がよく知っているはずである。
(本田宗一郎『得手に帆あげて』より)
 

 勇気を振り絞って批判を直視すること、そして反省の痛みが深ければ深いほど、人は成長し、そこに進歩がもたらされるのだ──といったところでしょうか。なるほど、と思わせてくれる箴言です。

 とはいえ、ちょっと邪推したくもなるワケです。本田氏が鉄拳制裁するのって、相手に対して反省の痛みを深くするためとか言うつもり? なんか、微妙に自己正当化しちゃってない? と。

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漆原 直行

うるしばらなおゆき




1972年東京都生まれ。編集者・記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中より若手サラリーマン向け週刊誌、情報誌などでライター業に従事。ビジネス誌やパソコン誌などの編集部を経て、現在はフリーランス。書籍の構成、ビジネスコミックのシナリオなども手がける。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』、『読書で賢く生きる。』(山本一郎氏、中川淳一郎氏と共著)、『COMIX 家族でできる 7つの習慣』(シナリオ担当。伊原直司名義)ほか。

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